どうなる韓国次期大統領

潘基文と朴槿恵
さて、朴槿恵大統領の弾劾、辞職決定によって、風雲急を告げる韓国の政界ですが、中国政府は、冷静に観察している模様で、時期大統領の件が、どういうふうになっていきそうかとか、そういうことについても、非常に客観的に、分析をしていますね。
Global Times誌では、こんな記事が上がっていましたが。
ソウルの動乱(Global Times誌より)

AFP(フランス系)からの転載という形ですので、Global Times誌の社説ではないんですが。

時期大統領選は予定より早まる?

基本的には、来年の12月に予定されているということなんですが、AFP誌では、もっと早まるのではないかと言っています。
12月9日の朴さんへの弾劾投票は、憲法裁判所(the Constitutional Court)で批准されなければならないそうなんですが、それには、普通は6ケ月かかることになっていると。
…6ケ月。
しかし、もっと早く批准されるのではないかという見方が強まっていると。
そして、それが成立すると、60日以内に次期大統領選をやらなければならないことになっている。
来年3月ごろにも、選挙になるのではないか、と。

大統領選が早まると、潘基文不利に?

そうなると、選挙時期が早まるということは、次期大統領候補の筆頭と見なされている国連事務総長の潘基文には、「不利」になるのではないかと。
  1. そもそも、潘は、まだ出馬するとは、はっきり言っていない。
  2. さらに、国連の役職も、辞めていないんですね。今年いっぱいで辞めると言っているそうなんですが。
    国連事務総長は、規定ではなく慣例で、5年1期、10年までと。
    それで行くと、大統領選に出ても出なくても、国連のほうは、今年いっぱいで辞めるというのは、まあ、普通なんです。
    あとは、次期国連事務総長は、もう決まっていて、ポルトガルの人ですよね。
    だから、韓国の政情とは無関係に、潘基文が辞めるというのは、規定路線だったとは言える。
    しかし、たぶんですが、この人は、母国の関係よりも、国連での仕事のほうが、何か放り出せない理由があって、途中で辞めないで、ギリギリまできちっと務めるということのほうを、選んでいるわけです。
    だから、潘基文的には、「国連事務総長としての仕事>韓国の政情」なんですね。
  3. さらに、大統領選に出るとしても、セヌリ党が滅茶苦茶になっているので、潘出馬の受け皿としては、機能しそうもないと。
なので、大統領選が早まれば、潘不利な状況であると、そういうふうに言っています。

意識はしているが、出馬表明はできない

潘基文側は、出馬表明はしていないながら、大統領選は意識はしているようで、金曜日には、記者会見で、母国の状況を憂える旨の発言をしている。
「新しいリーダーシップが必要だ」と言ったとか。
…しかし、「自分がそれになる」と、言っているわけではない笑。
韓国国内の専門家は、↓のように見ているとか。
"It will be difficult for Ban to win the election by himself," said Hahn Kyu-sup, a communications professor at Seoul National University.

「自分の力だけで選挙に勝つということは、潘には難しいだろう」

"He is a little too old and there is considerable antagonism toward him among younger voters," Hahn said.

「彼は、ちょっと年を取りすぎているし、若い世代の有権者は、彼に敵対的だ」

…うーん、72歳で、ダメなんですかねえ。
ドゥテルテは71歳、トランプは70歳、クリントンだって69歳。
その人たちの周辺では、「年寄りは引込め」という雰囲気は、ないみたいなんだけど。
韓国の若い人たちは、72歳で国連事務総長を10年もやった潘に対しては、どうしても、朴さんと同じような「既得権層のエリート」というふうにしか、思えないのかもしれませんよね。
そういう特権階級は、とっとと退場してくださいと。
なるほど。
まあ、日本でも、そういうふうになっているべきなのに、なってない。
政治家で偉くなるヤツは、みんな世襲、そして誰も、「特権階級は退場しろ」とか、言わない。若い人も。
特権階級だったら、何をしてもOKになってきて、ドリルを使おうが、世襲政治家ならしょうがないと、特権階級だから、と。
小泉進次郎みたいな人が、どうして20代でいきなり国会議員になれたのか、どうしたっておかしいんですが、「あの人は、特権階級だから」ということで、済んでしまう。
自分たちから、進んで、身分制度を認めてしまったようなことになっている。
ですがまあ、韓国では、かなり、状況は違うのかもしれないな。
世論調査では、民主党の文在寅を押さえて、次期大統領候補1位になっているという潘なんですが、実際には、そんなに簡単な話ではないのかもしれないな。

文在寅「THAADミサイルを配置する」

木曜日には、ライバルと目される文在寅が、ソウルで外国人記者を集めて会見を開き、出馬へのかなりの意欲を語ったそうです。
民主党側は、大統領選が早まることに、備えていると。
「時期大統領選に出馬することは、非常に名誉なことである」とし、いくつかの改革、実施したい政策についても挙げたと。
その中には…「THAADミサイルの配置」もあったと、言うんですね笑。 …まあ、朴槿恵さんにダメ出しをしつつ、実際には、朴槿恵さんの仕事を引き継ぐ、そういう感じの人なんでしょうか。
文在寅も、エリートの特権階級であるということは、変わらないようなんで、そういう点で、潘よりも有利とは言えないらしいんですが、とにかく文は、潘とは違って、ずっと国内にいるということですね。

第3の有力馬

李在明とにかく、エリートの特権階級で、年寄りだと、この状況では、ウケそうもないと。
そんな中、特権階級出身ではなく、わりと若い人で、大統領選に意欲を見せている人がいるという。
李在明52歳、労働者家庭の出身らしい。
現在は、京畿道城南市の市長をやっていると。
そうすると、地方から中央政界への進出ということになって、わりと若いということや、弁護士であるとか、金持ちの家の出ではないということでもって、これだと、なんとなく橋下徹とイメージが似ているんですが。まあ、あんなにおかしな人間では、ないだろうと、思いますが。
日本に対しては、表向きは、わりと辛辣な人だそうですね。
朴槿恵さんに対しては、「一生牢屋に入っていろ」と言い、潘基文に対しては、「きらびやかな国連の仕事よりも、地方自治体の地道な仕事で得た経験のほうが、価値がある」と、言っているそうです。
儒教の影響の強い韓国で、20歳も年上の人に向かって、こういうことを言うとは…なかなか、はっきりモノを言う人のようですね。
Asked to evaluate Ban's candidacy in a recent interview, Lee said his own experience as a local official dealing with local issues carried more weight than heading the UN.

最近のインタビューで、潘基文の出馬をどう思うかと聞かれ、李は、地方の当局者としての自分の経験のほうが、国連を率いるよりも、価値があると言った。

"As pragmatic values gain more importance, fancy experiences are no longer attractive," Lee said.

「実利的な考え方こそ、もっと重要なのだ、豪華な経歴は、もはや意味をなさない」と、李は言った。
現段階では、世論調査では、この人を次期大統領にしたいと思う人は、18%だそうです。
こういう人が、「若さと、非特権階級出身と、歯切れのよさ」というウリでもって、どこまで大統領選で戦えるのか、なかなか、見ものだと思いますね。

脱植民地へのチャンスである

次の韓国の大統領になる人が、THAADをどうするつもりなのか、そこが最も重要なポイントになってくるだろうと、私は思います。
THAADを置くということは、これからもずっと、アメリカの植民地で居続けるという意味になるからです。
ですから、もしも、李在明さんのような、新しいタイプの政治家が、アメリカの植民地をやめたいと、本気で思って、そして、ドゥテルテのように、アメリカに対し、出て行けと、もう騙されないぞと言うのであれば、それは、真の独立への道であり、韓国が、そういう大統領を持つかどうかということは、われわれ日本人にも、大いに関係してくるというわけなんです。
だから、韓国の次期大統領選というのは、そういう視点で、見なければなりませんね。