テロリストたちも出席したアスタナ会議

さて、日本語のメディアでは、まったく報道されていませんが、実は、23日と24日に、重大な国際会議というのが、カザフスタンの首都のアスタナというところで開かれていたんです。
ちなみに、アメリカのメディアでも、報道されていません。
どうしてかというと、この会議は、「ロシア主導」だったからです。
なので、なるべくならリムりたい、と。

位置関係
kazaf
実はこんなに盛大な会議だった(テロリストも参加していた)astana
アスタナ会議は、シリア内戦の講和のための会議で、12月の停戦合意の「続き」という感じです。
ですので、前の時もそうでしたが、シリアの「武装反政府勢力の代表」というのが、ずらっと出席しているんですね。
…人によっては、彼らをテロリストと呼ぶし、「穏健な反政府勢力」なんてものは、存在しないというのが、最近の定説ではある…。

アメリカのギリギリの反応

今回、注目したのは…国連の代表も出席していたということと、もうひとつはアメリカです。
「アスタナ会議」関係で英語で検索をすると、トランプ政権が欠席すると言ったという記事ばかりが、出てくるんですが、実は出席していたそうなんですね笑。
なんじゃそりゃ。
だからまあ…トランプという人は、表でわーわー言うことと、実際にやることは、かなり違う人だと思うべきなんじゃないのか。
この「ロシア主導の会議」にアメリカ代表が出席するかどうかということは、大問題ですから、トランプが決めたに決まっています。
下の人が勝手にするということは、考えられない。
経過を調べると、どうやら、21日の時点で、国務省報道官が「ロシアから招待されたが、大統領の交代でバタバタしているので、出席はしない」と言っているんですね。
…ところが、23日には、カザフスタン大使を、オブザーバーとして出席させたというんです。
ロシア側は、大使ではなくて、ワシントンから、国務長官か、その下の人のうちの誰かを寄越して欲しいと要望していたそうなんですが、それはやはり、見送ったらしい。
しかし、アメリカのカザフスタン大使を出席させているんですね。
会議では、その大使は、目立たぬようにしていたらしく、特に何もしなかったらしい。
そこにいるだけ、と。
しかし、「いた」ということは、重要なんですね。
今回、イランの反対を押し切ってまで、アメリカを呼ぼうと決めたのは、ロシアでした。
どうしてかというと、アメリカは、シリアの反政府勢力に武器や金を与えていますし、空爆もしているわけですから、アメリカがいないと、やっぱり話がまとまらないと。いうことらしい。
しかし、アメリカ側は、ジュネーブのほうでも同時進行している国連の講和調停のほうを重視しているとか、目立たせたいために、あえて、アスタナ会議のことは、自国内ではまったく取り上げていない。
ともかく、表向きには「出席しない」と言って、ワシントンから外交官を赴かせるということはせず、こっそり、現地にいる大使を出席させたというのは、これはなかなか、うまいやりかたかもしれない。
完全にロシアのメンツを潰したということにはならないので、就任前からのプーチンとの関係にも、最低限の影響で済むように、と。

ロシアがサプライズ発表

もうひとつ、注目したのは、前にもちょっと触れたシリア北部のクルド人の件です(過去記事:)。
ここは最近、ロシアが仲介して、保証人になって、アサドから自治権をもらうことにしたぽかったんですが…今回の会議で、ロシア側がサプライズとして、その話を出したと言うんですね。
After the meeting was concluded, Russian chief negotiator Alexander Lavrentiev made a surprise announcement that a Moscow-written draft constitution had been presented to both Syrian delegations, which Sputnik's exclusive revelations indicate contains suggestions for Kurdish "autonomy" and possibly "federalization".

会議が終了したのち、ロシア代表団のチーフのAlexander Lavrentievは、サプライズ発表をした。
モスクワが書いたdraft constitution(草案くらいの意味かな)が、シリアの両代表に渡された。
その中には、Sputnik誌だけがスクープしていたクルドの「自治区」と、「連邦化の可能性」が含まれていた。
前回の話では、ロシアが、シリアの軍事基地にクルド人の政治家たちを呼んで、今後の方向性について話をしていたとか、それを、ロシアが、アサド政府と交渉するとか、そこまででした。
それがまとまった…わけじゃなかったけど、見切り発表をしたぽいのは、どうしてかというと、シリア代表が、この件は話にならないみたいな、そういう反応だったらしいからです。
Al-Jaafari: Astana Meeting Succeeded in Consolidating Cessation of Hostilities for a Specific Period of Time – Al-Manar TV Lebanon
シリア代表のAl-Jaafariさんの反応↓
adding that such ideas, even one as crazy as federalism, must be put to democratic vote, but it’s completely unacceptable for a group of people to decide to create a statelet and call it federalism.

連邦制みたいなバカげた話もあったが、そういうのは民主的な投票が必要だ、しかし、特定の人たちが国を作って、連邦だとか決めるというのは、受け入れがたい話だ。
アサドのほうも、クルド人の自治区とか独立には、ずっと賛成はしていないので、いったいどうなることやら。
…しかし、ロシア側が、これだけ自信満々に介入し、打って出ているわけなので…見込みがない話とは、ちょっと思えないんですが。
ちなみに、連邦制という概念は、なかなか理解がしにくいんですが…結局はそれは「独立」という意味ですよね…シリア連邦のクルド共和国とか、そういう感じになりたい、と。
そういえば、この件でピリピリしまくっているトルコの反応は、特に書いてなかったな。
トルコは最近、シリア北部の特定の地域(アルバブ)を軍事占領していて(!)、これだけでも、なんか、すごい話なんですが、さらに「アサドには返さない」と言っているんですね。
…なんじゃそりゃ。
Turkey will not hand over al-Bab to Syrian regime: Deputy PM - MIDEAST
どうして返さないのか。よくわからないんですが、トルコが要求しているのは、アメリカに対してであって、クルド人武装勢力への支援をやめろと、これは、昨年暮れからずーっと要求しているわけですが、それを言っているんです。
…シリアの一部を軍事占領し、それを「人質」のようにした状態でもって、アメリカに対し、クルド人を切り捨てなければ、この土地をアサドに返さないぞと言って脅している、それは…いったい、どういうことなのかって、私も、あまりにも複雑なので、頭がこんがらがってしまって、不明です笑。
アメリカが、イラクのクルド人自治区の独立をバックアップしていることは、公になっていますが、シリアのほうは諦めろと、そういう意味かな。
トルコは、クルド人には独立をさせたくないというのは、それはそうなんですが、だったら、自治区化とか、連邦化の仲介をしているロシアを放置しているのは、なんなんだろ。
……。
ここらへんの地域のことは、考えれば考えるほど、素人には、わけがわからなくなるのだった。

「血まみれの近所付き合い」

ちなみにこれも、まったく報道されず、注目もされていませんが笑、上のシリア代表のAl-Jaafariさんは、「ご近所」に対し、かなりものすごい、辛辣なことを言っています。
He cited Turkey, Qatar and Saudi Arabia as some of the countries involved directly or indirectly in the bloodshed in Syria, calling on these countries to change their bloody policies towards the Syrian people and towards their own people.

彼は、トルコ、カタール、サウジアラビアを、直接または間接にシリアの血しぶきに関与したと名指しし、彼らに対し、シリア国民と自国民に対する血まみれの政策を改めるように求めた。

“Stop playing with fire and betting on losing cards. Everybody has lost, including the countries supporting terrorism. Terrorism has arrived in their own backyards, which is something that we warned of from the very beginning,” said al-Jaafari.

「火遊びをしたり、勝ち目のない戦いに賭けるのはやめろ。
全員が敗けたんだ、テロリストを支援している国も含めて。
われわれが最初から警告していたように、テロは、彼らの自国内にまで至ったのである」
…すごいですねーなんか、中東というのは、「ご近所付き合い」というのも、血まみれにならないとできないというか、笑っている場合ではないんですが、ちょっと笑ってしまう。
東アジアは、なんて「平和」なんだろうと、本当に、そういうふうに思う。
だって、「血まみれ」にならなくても、近所付き合いができるようになったし、血まみれになっていたころは、こっちが悪かったわけで、むこうが原因で血まみれになっていたわけではない。
それに、もともとは、「血しぶきのない付き合い」を、ずーっと長いこと、続けていたわけですから。
それにしても、ここで言われているのはたぶん、ほとんどトルコのことですが、トルコはそれに懲りて、たぶんですが、もうやめたと。
思うんですが。
やはりここでも、問題はサウジ。
サウジね…トランプが、なんとかしてくれないだろうか。なるべく、テロと戦争を、させないように。