メルケルが、全力で難民申請者を送り返す

さて、トランプ就任後は、「リベラル派の最後の砦」のように称えられている、ドイツ首相のメルケルなんですが。
…実際にやっていることは、そういう「表の理想像」とは、だいぶ違うみたいなんですよ。
German Chancellor Angela Merkel is planning to present a new plan to accelerate the process of deporting failed asylum seekers, including special “departure centers” and more financial aid for those deciding to leave voluntarily, German media reports.

メルケルは、「出発センター」や、自主的に出ていくことを決めた移民希望への経済的支援を含めた、難民申請を却下された移民の送還を迅速化するための新しい計画を実施しようとしている。
難民申請を却下された人と言ったって、全申請者の40%が、却下になっているということです。
これは、すごい割り合いですよね。
10人来たら、4人は却下と。
特に問題視されているのは、アフガン難民を追い返していることだそうですが、まあそれが、「リベラルの最後の砦」視されているメルケルが、現実的には、取らねばならない手段ということなんです。
前から言っているように、中東や北アフリカからの移民というのは、きれいごとでは済まない話なんです。
  1. むこう3ヶ月以内に、national center for deportation assistanceを設置する。国務省の管理下で、すべての難民や移民希望者のコーディネイションにあたる。
  2. その施設は、身分証明のための書類の足りない難民申請者についての情報収集業務にもあたる。
  3. federal departure centersを設置し、難民申請を却下された者たちを収容し、帰国までの数日なり数週間の間、政府の管理下に置く。
  4. the Federal Office for Migration and Refugees (BAMF) は、難民申請のためにやってきた人たちの携帯電話、スマホやSIMカードを調べる権限を与えられる。
  5. 難民を送り返せるかどうかを判断するための健康診断の手続きも、強化・迅速化される。
  6. 難民申請者は、自主的に帰国を希望すれば、お金を支給する。「帰る」という決断が早ければ早いほど、金額が高くなる。
1~4は、ほとんどアニス・アムリ事件の教訓であろう。
6とかは、もう、「ミもフタもない」というか。そこまで露骨に金で釣ってでも、帰らせたい、と。

さらに↓
↑すべての難民申請者の指紋採取を義務付け。
福祉の多重受給や、身分詐称を防ぐため。
↑自主的に帰国する移民希望者には、€1,200 (almost $1,300)を支給。
日本円で130,000くらいか。

ドイツでは、昨年1月~9月までに、420,000人の難民申請を「処理」したという↓
処理したということは、その40%が、却下されているということになる。
In early January, the EU statistics office, Eurostat, released a new report that shows that Germany had processed around 420,000 asylum requests between January and September 2016 – more than the other 27 EU countries combined.
↑420,000人というのは、ほかのすべてのEU諸国のぶんを合わせたよりも多いのだという。

移民の問題は、きれいごとでは対処できない

…だからまあ、しつこいようですが、この問題は、きれいごとでは片付かないんですよ。
「来るものは全部入れてやるべき」とか、そういう「理想論」なり「博愛精神」または、「国境否定論」でもって、どうにかなるならば、メルケルだって、ここまでしていないですよ。
こういうことをすればするほど、メルケルは、前とは方針を変えたということでもって、「自分が間違っていた」と認めているということになってしまうから、自分に損なんだから。
merkel
でも、メルケルでも、ここまでせざるを得なかったということなんです。
そして、メルケルのような人が、ここまで現実的な路線に変わらざるを得なかったというときに、ただひたすら、念仏のように、みんなで声をそろえて「トランプ人でなし」と言っていれば、それでいいのか、そうじゃないだろうと、私は、思いますね。

思考停止している日本のリベラル

そういう人たちは、日本でもそうですが、思考能力を失っている…に近いと、思う。
メルケルが、どうしてここまで追い込まれたのか、それを知らずに、「メルケルはやっぱりすごいな、ブレなくて」なんて言っている人は、そもそも変なわけですし、「それに比べてトランプは、ひどすぎるよな」と言って、それで、「なんかいいことしちゃった、オレ」と思っている人は、もう、思考停止状態だと、私は思う。
リベラルを名乗っていれば、思考は停止しないのかと言ったら、そうじゃない。
とにかく、メルケルを称えていれば、それで自分はリベラルなのかと言ったら、それも違う。
アンチトランプでありさえすれば、リベラルなのかって、そういうわけでもない。
考えないといけないんですよ。
考えるということは、一番、面倒で、しんどいんです。
考えないで、「とりあえずメルケルなら、アゲとけばいい」とか、「とりあえずトランプなら、サゲとけばいい」とか、そういうふうになっている人が、ものすごく多いけど、その人たちは、考えることをやめている。
特に、日本では、リベラルだから、または、右翼だから、または○○だからと言って、「その教条に沿ったことを言っていれば、それでいい」と思っている人が、多すぎる。
自分はどう考えるのか、そのプロセスを放棄している人が、すごく多いんですね。
メルケルとトランプは、本当に、天と地ほど違うのか。
メルケルは常に正しくて、トランプは常に間違っているのか。
まあ、面倒でも、自分の頭で考え続けるということは、必要なんです。
これには、終わりはない。一生。