トランプはなぜ変わったのか

さて、トランプの豹変と、その後の軍事行動ラッシュについて、非常にわかりやすく解説している人がいますね。
The Double-Triple-Quadruple-Crossing Trump: | The Vineyard of the Saker
Ghassan Kadiという人で、シリア人の政治アナリストのようです。
あくまでも、この人独特の見方、ということになるのですが、日本語話者が、こういうものに触れることには、意味があると思うので、要点をつまんで、紹介してみます。
文字数の問題と、面倒臭いということがあるので、今回は、記事の全文を訳すということは、しません。
記事のタイトルは
The Double-Triple-Quadruple-Crossing Trump:
となっていますね。

シリア人ジャーナリスト「トランプに期待していた」

出だしは、こういう感じですね↓
Trumps recent and sudden 180 degree turn on a number of international issues is mind-boggling, to say the least. But, if we connect the dots it becomes easier to get into the mind of the pragmatic billionaire-turned-President.

トランプの最近の、国際問題についての180度転換には、動揺させられる、最低でも。 しかし、点と点をつなげていけば、大統領になった実利主義的な億万長者の心の中を、覗き見ることは容易である。

First and foremost, we must thank Obama for the “if” state of mind he gave us about Trump. Many analysts, including myself, felt hopeful when Clinton was defeated and Trump won. Given the Obama disappointment, we all learnt to reserve our enthusiasm and make optimistic statements on the condition of “if” Trump kept his promises; which we now know he obviously did not. Whether he did not, could not or did not want to in the first place, makes no difference at all because, at the end of the day, he did not keep his promises of reducing world tension and conflict.

そもそも、われわれは、「もしもトランプが」という期待を持たせてくれた、オバマに感謝するべきであろう。
私を含め、多くの分析家が、クリントンが負けて、トランプが勝ったときに、期待を抱いたものだ。
オバマに失望させられたことで、われわれは、トランプが約束を守るなどの期待をしすぎないほうがいいということは、学んでいた:現在は、彼が約束を破ったということは、わかっている。
彼が、約束を守らなかったのか、守れなかったのか、守りたくなかったのかということは、もはや問題ではないなぜなら、結局のところ、彼は、世界の緊張と紛争を減らしていくという約束を、守らなかったからだ。
ふむ、シリア人のこの人が、自分の故郷が、アメリカその他の同盟軍から「侵略」をされているという状態で、トランプ大統領の誕生に、非常に期待をしていた、ということなわけですね。
それは、私などもそう。
トランプは、ネオコンに借りがないから、言うことを聞く筋合いはないので、きっと、前よりはマシにしてくれると、思っていた。
シリア人で、「当時者」であるこの人も、そういうふうに見ていたということですね。
逆に言えば、「クリントンになったら、大変だ、オバマ路線が続いてしまう」という認識があった、ということです。
だから…「侵略をされている国の人」にとっては、トランプが本当に差別主義者がどうかとか、女を見下しているとかいないとか、大統領選挙へのロシアの関与があったかなかったとか、そういうことは、ほとんど、どうでもいい話なわけですよね。
それよりも、とにかく、この侵略を、なんとかしてもらいたい、と。
そらそうです、そっちのほうが、切羽詰まった話なわけですから。
だから…われわれのような、アメリカの植民地のひとつである日本の民が、クリントンアゲに励んでいたアメリカの大メディアの口車に乗せられて、「トランプは差別主義者だからダメ」という「その一点」でもって、disり続けていたこと、こういうことは、Kadiさんのような人から見れば、たぶん「キミたち、気楽でいいよねえ」という、そういう話だったろうと、思いますよね。
「キミたちは、すぐには、アメリカに殺される心配がないから、そういうことを言っていられるんだよね」と。

習近平訪米にぴったり合わせた「ある計画」

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Let’s wind back the clock a bit. Soon after his inauguration, Trump told the Russians to tell the Syrians that he was prepared to stop total support for ISIS and have it eradicated on condition that Syria and Russia guarantee that they will reciprocate by kicking Iran and Hezbollah off Syrian soil. I have written a whole article about this called “The Race for Raqqa”.

少し時計を巻き戻してみよう。
就任後間もなく、トランプはロシアに、シリア人に「シリアとロシアが、イランとヘズボラをシリアから追い出してくれれば、ISISへの支援をやめる用意がある」と伝えてくれと言った。

The Russians and the Syrians were not either prepared to back-stab their allies or prepared to give America a central and pivotal role in the Levant. In other words, Trump’s outcries fell on deaf ears to his sheer dismay, the accomplished business man, who is not used to taking “no” for an answer. That “no” that Trump received from Russia marked a pivotal point in as far as his future relationship with Russia is concerned. For a simple minded person who judges complex international events and diplomats as being “bad”, “good” and “tough” amongst other school playground expressions, he had to make a stand to prove that he was “tough”.

ロシアとシリアは、同盟国を裏切る用意はできていなかったし、アメリカにレバント(あのへんの地域全体を指す)を仕切らせるつもりもなかった。
Noという言葉を聞いたことのない、成功したビジネスマンであるトランプの要求は、聞き入れられなかった。
ロシアから受け取ったNoという答えは、その後のトランプの将来のロシアとの関係に決定的な影響を及ぼすだろう。
複雑な国際情勢を、「低調」「好調」「タフ」の3つでしか理解できない単純な心理の持ち主にとって、自分が「タフ」であるということを証明するために、何かをしないといけなかった。

Trump’s message to Xi Jinping was clear, stop supporting Russia and the USA will give you a “better deal”. The Chinese leader’s response was even clearer; don’t blame America’s problems on China and don’t interfere with our international diplomacy.

トランプから習近平へのメッセージははっきりしていた、ロシアを支えるのをやめれば、アメリカは「もっと良い条件をあげる」と。
中国の指導者の返事は、明快だった「アメリカの問題を、中国のせいにしないでくれ、われわれの国際外交に、干渉しないでくれ」
なるほど、「トランプが」なのか、「トランプを操っている人たちが」なのか、たぶん後者だろうと、私は思いますが、ロシアとシリアに「イランとヘズボラと手を切れ」と要求した、と。
そうすれば、ISISへの支援をやめるって、それを言ったらおしまいよというか、「アメリカは、ISISを支援している」ということを、認めているじゃないですか笑。
そんなものを、「取引材料」にするとか、アメリカ人は、本当に頭がおかしいですよね。
「テロリストを支援しない」というほうが、当たり前、しかし、「支援しないから、こっちの要求を飲め」と言ってくるとか、まあ、このへんのやりかたは、安倍普三とまったく同じ。
もちろんそれは、「安倍普三を操っている人」が、同じ系列だからだろうと、思いますよ。
「しないほうが普通のこと」を、「やめてやるから、言うことを聞け」とか、平気でそういうことを言う笑。
アメリカって、そもそも、こういうふうなんですよね。仁義とかは、ない。
ともかく、これは、アメリカが得意な「分断政策」ですね。
まずはイランを切り離して、孤立させ、滅ぼす、その次には…というふうに、バラバラにすることで、それぞれを弱体化させていく。
しかし、ロシアもシリアも、その手には乗らなかった。
そしたら、今度は中国の買収に出たと。
ロシアとシリアがダメなら、中国だ。
なんという、節操のなさ。
しかし…中国も、その手には乗らない。
当然ですね。中国の指導者たちが、そんなにバカだったら、とっくに、アメリカに滅ぼされていますよ。

習近平に誠意を示すため→シリア爆撃

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In the middle of the negotiations between the two leaders, Trump wanted to give his Chinese counterpart a clear preparedness on his part to dump Russia and any future collaboration with Russia as a prelude for closer and better relationships with China. What better way did he have than do a 180 degree turn and attack Syria, with Russian troops on the ground, and only a few days after endorsing Assad’s Presidency and fate?

習近平との交渉の中で、トランプは、中国側に、中国とのよりよい関係を持つためには、ロシアを捨てるということ、将来的にもロシアとはいかなる協力関係も築かないということを証明したいと思った。
アサド政権を倒す必要はないと言った数日後に、態度を180度変えて、ロシア兵がいるシリアを攻撃する以上に、よい方法があっただろうか?

The Tomahawks that hit Syria were not launched to inflict major damage because Trump clearly cannot afford to escalate the situation there between America and Russia to the point of no return. Trump’s attack on Syria was simply a message for China, telling China “for me to gain your support I am prepared to do crazy things, including dumping Russia”.

シリアを攻撃したトマホークは、被害を拡大させるためのものではなかった、なぜならトランプは、米露間での紛争をエスカレートさせ、ポイントオブノーリターンに行きつくことは、できないからだ。
トランプのシリア攻撃は、純粋に、中国へのメッセージだ、中国に対し、「キミの支持を得るためなら、私はどんなバカなこともするよ、ロシアを捨てることだってする」と伝えているんだ。

When Tillerson went to Moscow a few days after the attack on a pre-scheduled visit, he had nothing to say in defense of that attack and left Moscow “agreeing” that this should not happen again in a manner as if he was saying it shouldn’t have happened in the first place.

ティラーソンが、攻撃の数日後に、予定どおりにモスクワを訪問したとき、彼は、何も言い訳をしなかった、ただ「二度とこういうことは起こらない」と同意した、まるで、最初から起こるべきではなかったとでも言うように。

The big fish that Trump wants to fry is not Syria. Even though in his stumbling, awkward arrogance, he may attack Syria again if he feels he needs to.

トランプが釣り上げたかったのは、シリアではない。
失敗したけれども、必要なら、またシリアを攻撃するだろう。

It is as if Trump is courting two potential partners; Russia and China. He tried to strike a military deal with Russia on Syria but he failed. But he also tried to strike a much more complex deal with China but this is also failing.

まるでトランプは、潜在的パートナーの機嫌を取っているかのようだ:ロシアと中国。
彼は、シリアに関して、ロシアとの軍事協定を結ぼうとしたが、失敗した。
しかし彼は、中国と、もっと複雑な取引をしようとして、さらに失敗した。

Ideally, Trump wants China to let go of its Island development program in the South China Sea and abandon its BRICS based economic and other strategic alliances with Russia. China is not biting.

理想を言えば、トランプは、中国に、南シナ海での「島」の発展計画を諦めてもらって、BRICSをベースにしたロシアとの経済と軍事の同盟をも、諦めさせたかった。
中国は、乗って来なかった。

Comes the MOAB.

だから、MOAB(大規模爆風爆弾)の出番になった。
ふむ、この人は、ロシアとの取引に失敗したトランプが、中国に的を変えて、「誠意アピール」のためにシリア爆撃をしたというふうに、言っていますね。
…それはまあ、本当だったとしたら、すごい話だ。
外交手段として、よその国への爆撃を用いる、そんなアホなことが。
それも、ロシアに断られたから、すぐさま中国に乗り換えようとしたとか。
トランプが、どこまでを自分の意思でやっていたのか、いなかったのか、今のところは、不透明ですね。
もちろん、そうであってもなくても、すべては、「トランプの名前で行われたこと」なわけですが。
しかし…トランプが、就任以来、本当に「軍隊の指揮権」を掌握したことは、一度もないんじゃないかと、私は思っているんですが。
そもそも、フリンの首を切って、バノンを安全保障委員会から追い出したのは、「自分の意思」なのか?
そういうことをすれば、「すでに、人事ですら、自分の意思が通らない」と言っているようなものです。
だったらそれは、ネオコンに降参したから、ではないのか。
ならば、「軍事行動だけは自分の思い通りにできる」なんていうわけが、ないではないか。

中国の取り込みに失敗→アフガン攻撃

There was no strategic or logical explanation or gain behind Trump’s orders to drop a MOAB on Afghanistan. It was a simple show of force and determined mentality of aggression at any cost.

アフガニスタンにMOABを落とすことについては、戦略的または論理的な説明も、得たものも、なかった。
それはただ、単に、力を見せつけただけで、いかなる犠牲を払っても、侵略してやるという決意を示しただけ。

Trump now wants to bring the war closer to China’s borders. He wants to turn Korea into Obama’s Ukraine. The stalemate in Ukraine will eventually give way. If NATO was going to do something against Russia it would have done it already. The new hotspot is Korea.

トランプは今、中国の国境近くで戦争を起こそうとしている。
彼は、朝鮮半島を、オバマのときのウクライナのようにしたいんだ。
ウクライナで詰んだことは、いずれバレるだろう。
もしも、NATOが、ロシアに対抗しようとしていたならば、もうしていたはずだ。
新たなホットスポットは、朝鮮半島だ。
シリア→アフガン→朝鮮。
朝鮮半島で戦争をやった場合に、最も問題になるのは、たぶんですが、
「キリスト教徒がけっこういること」
ですよ。
本当です。
アメリカ人が気にするのは、それですよ。
前の朝鮮戦争のときには、まだ、そんなにいなかったと思いますが、今は、人口の30%くらいが、キリスト教徒だと言いますね。
アメリカという国は、非白人の住む場所を壊したり、非白人を殺すこと自体には、問題はないけれど、そこにキリスト教徒がいると、ちょっと困るわけですよ。
なぜかというと、それをすると、「アメリカのヘビーなキリスト教徒たちから、同じ宗教の仲間を殺すなと言って、文句が出る」からです。
だから、たぶん、アメリカの偉い人たちが悩んでいるのは、朝鮮半島で大規模な破壊行為をやりつつ、どうやって、なるべく、韓国のキリスト教徒を殺さないようにするか、ですよ。
逆に、北朝鮮には、キリスト教徒がいないので、何をしてもいいと思っていますから、滅茶苦茶をするでしょうね。
日本に原爆を落とした、そら、非白人だし、キリスト教徒がほとんどいなかったから。
死んでもOK、と。
恐ろしい国です。アメリカって。

外交的失敗→その都度、軍事行動でごまかす?

What Trump hopes for is a that a war against North Korea will give him enough justification to blockade China’s sea trade routes all the way down to the South China Sea under the guise of military necessity.

トランプの狙いは、北朝鮮に戦争を仕掛けることで、南シナ海の中国の貿易ルートをブロックすることを、軍事的必要性の名のもとに、正当化させることである。

Trump seems confident that he can blow a devastating strike on North Korea and then follow this up with a blockade that covers the entire China Sea, north, middle and south. In his short-sightedness and arrogance, he thinks that nuclear North Korea is not going to be able to retaliate and that China will sit idle.

トランプは、北朝鮮への致命的な攻撃をし、それに続いて、中国付近の全海域をブロックすることに自信を持っているようだ。
彼の視野の狭さと傲慢さによって、彼は、核武装をしている北朝鮮が、報復をしないと思っているし、中国が黙って座っていると思っている。

What is to happen in the next few days, weeks or months is going to be pivotal in deciding the short term future of humanity on this planet.

次の数日、数週間、数か月に起こることは、人類の近未来を決定する要になるだろう。

At best, the bottom line behind Trump’s new moves, if he is truly continuing to uphold the slogan of “make America great again”, is that he realized now that the American economy has been destroyed beyond repair and that he needs drastic measures, including limited nuclear wars, to restore America’s dominion. By the same token, by now, Trump would have realized that it is really the Deep State that is in charge and for him to secure his survival as President, he has to tow the line.

トランプの新たな動きの背景として、最もマシな場合で、もしも彼が、「アメリカをもう一度グレートにする」というスローガンを本当に守り続けるなら、彼は、最低でも、アメリカ経済は修復不可能に破壊されているということに気がついているだろうし、アメリカの支配を修復するためには、限定的な核戦争を含めたドラスティックな手段が必要だということを認識しているということだ。
同じ意味合いで、トランプは、本当に仕切っているのは「ディープステイト」だということを悟っただろうし、大統領としての地位を守りたいならば、彼らと足並みを揃えなければならないということも、悟っただろう。

Irrespective of what is driving Trump; the Deep State, financial pragmatism, the shrinking global influence of the United States or any other factor or combination of the above, Trump is playing a very dangerous game which may prove to be a decisive game of Russian Roulette of global reach.

トランプを駆り立てるものが、なんであったとしても:ディープステイト、経済的な実利主義、アメリカの世界への影響力が縮小していること、またはほかのファクターや、これらのコンビネーションであったとしても、トランプは、地球レベルのロシアンルーレットみたいな、非常に危険なゲームをやっているのである。

Trump is up against Russia and China, not to forget the smaller powers of North Korea and Iran. In the Levant you can add the Syrian Army and Hezbollah to the equation. Is the ailing USA up to the task? Rational thinking implies the contrary. Irrespective, the consequences of the interaction of all of those powers at play is something that we as citizens of the world have no other option but to sit back and watch.

トランプは、ロシアと中国に対して腹を立てている、北朝鮮やイランのような、小さな勢力にもだ。
レバント地域ならば、シリア軍や、ヘズボラに対しても、そうである。
それがアメリカを、任務に駆り立てているのか?
論理的に考えれば、逆である。
ともかく、これらすべての勢力が、一堂に会してぶつかりあったという場合には、われわれ世界の市民たちは、ただ、座って、見物している以外には、方法はないのである。

運命のカギを握る人たち

座って見物をし、運命を待つ以外には、ものごとを変える方法がない人たちが、ほとんどだとは思いますが、私は実は、未来を変えるだけのカギを握る人たちというのが、いると思っています。
まずは、韓国の人たち。
この人たちが、戦争をされて滅茶苦茶にされたくない、シリアやイラクみたいになりたくないと思って、徹底的にアメリカの軍事主義に抵抗をすること。
前にも書いたように、ここは、キリスト教徒が多いから、アメリカのキリスト教徒の心を動かし、協力を引き出せる可能性が、けっこうある。

そして、トルコですね。
ここが、アメリカとNATOに対して、もっとはっきりとNoを言って、ロシア・イラン・シリア同盟の仲間になったら、アメリカが戦争を続けることは、なかなか難しくなる。
ただし今は、トルコは、わりとどっちつかずの立場で、バランスを取り始めたところ、なんですね。

次は、台湾の人たち。
そして、沖縄の人たち。

それぞれの人たちが、どれだけ真剣に、「自分たちの故郷を滅茶苦茶にされたくない」と思って、アメリカの軍事主義に抵抗できるか。

倭人は死に体

残念ながら、われわれ倭人は、植民地化と平和ボケが進み過ぎて、死に体です。
韓国の人のように、腐敗したトップを、自分たちで引きずりおろすような力も、ない。
韓国の人のように、THAADは置かせないと言って、抵抗し続けることも、できないでしょう。
だから、私たちには、韓国や、沖縄の人に期待するとか、影ながら応援をする以外には、世界平和のためにできることは、何もない。
ケンシロウだったら、「倭人よ、おまえはもう死んでいる」と、とっくに言っていると思いますね。