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どうやら、アメリカは、また戦争に負けていたらしい

何がびっくりするかって、これは、朝鮮戦争とか、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争と同じで、普通に「米露の代理戦争だった」という話です。
シリアで「米露の代理戦争が行われていた」って、知ってました?
アメリカ国民も含め、みんなが、「ISISを空爆しているだけだ」と、思っていませんか。
そうじゃなかった。
「そうじゃなかった」ということが、「勝負がついた時にわかる」とかって、すごいことだなあと思いますし、そもそもの話が、アメリカの国民は、「戦争をやっていたという認識がない」んですよ。
すごいよなあ。
「テロリストを叩いているだけ」というふうに、まだ、思っている。
「だから、あれは戦争じゃない」と。
「警察の取り締まりの延長だ」とか。
もちろん、日本人もそう。

どうやら、アメリカはまた、戦争に負けたということを認めないらしい

アフガニスタンは微妙としても、朝鮮戦争も、ベトナム戦争も、どう考えても負けているんですが、アメリカの国民には、「負けた」という認識は、ありませんよね。
それは、政府が、負けたというふうには認めていないから。
だから、国民にも、そういうふうには教えない。
でも、「負け」だったんですね。
そして、今回の「シリア戦争」でも、「負け」らしいんです。
この記事(Battle of Aleppo is end of history in the Middle East)なんかが、そのことを言っているんですが、あとは、つい最近、プーチンが「最後通告」をしたというのが、あったようです。

プーチンの最後通告

今後、シリア政府軍を攻撃したら、痛い目に遭うぞとロシアが警告(Breitbart誌より)
putin
Russian news agencies quoted Foreign Ministry spokeswoman Maria Zakharova as saying that a U.S. intervention against the Syrian army “will lead to terrible, tectonic consequences not only on the territory of this country but also in the region on the whole.”

ロシア外務相は、「アメリカがシリア政府軍を攻撃すれば、この国だけでなく、地域全体に及ぶような、恐ろしい、地殻変動規模の結果を招くだろう」と述べた。

She said regime change in Syria would create a vacuum that would be “quickly filled” by “terrorists of all stripes.”

彼女は「シリアの政権変更は、真空状態を作り、すぐさまテロリストに取って代わられるだろう」と述べた。
…これで行くと、アメリカが支援していた反政府軍は、「ほぼテロリストだ」と言っているようなもの。
もしも、ISISと反政府軍が「はっきり区別ができる」とか、反政府軍がISISを排除できると思うのであれば、こういう表現にはなってこない。
要するに、アレッポ攻略で、もう勝負がついたので、旗を降ろせと。
アサド政権打倒は、諦めろということなんですね。
勝負あり、反政府軍を支援していたおまえらの負けだと。
シリア全土のほとんどは、アサド側が掌握したから、あとは、アサドの政府軍が、ISISの残りを片付けるから、おまえら(アメリカ同盟軍)は、もう要らんと。
連合軍は、引き払え、という意味ですよね。
ということは?
アメリカに、「反政府軍を見捨てろ」と言っているんですよ。
アメリカが引き揚げたら、今、アサド打倒のために戦っている「民兵」たちは、国外へ逃げるか、逮捕されるしかない。
まあ、その中には、「ほとんどISIS」みたいな変なのが、けっこう混じっているというのが、ロシアとシリア政府側の見解なわけです。
まあ、アメリカは、見捨てるのは得意。
これまでだって、いつも、そうしてきたし。
例えば、ベトナムのモン族とか。
だからプーチンは、「アメリカは、いつものように、現地の民兵や傭兵を見捨てて、帰れ」と、言っているんですね。
そういうわけで、つまり、対ISIS連合軍は、ISISを叩くためにシリアに居たんじゃない。
最初から最後まで、アサド政権を倒すために、介入をしていたんですよ。
「結果」から見ると、それがわかったということなんですね。
空爆で破壊されたアレッポ

イランの「援護射撃」

あとは、イランが、挑発をしていますね。
挑発というか、これは、プーチンへの援護射撃なんですよ。
イラン:対アメリカ戦では900万人の兵士を用意できる(Breitbart誌より)
イラン軍
n a speech delivered last month in Tehran and translated this week by the Middle East Media Research Institute (MEMRI), Mohsen Rafighdoost, who was minister of the IRGC during the 1980s and the Iran-Iraq War, added that IRGC ground forces are “five times better” than the U.S. Army.

先月のテヘランでのスピーチで、イラン元首相のMohsen Rafighdoostは、「イラン軍はアメリカの5倍は優れている」と述べた。

“Despite all the enemy media and cultural propaganda against us, if America wants to try its luck against us, [it should know that] we are completely capable of mobilizing nine million fighters” against it in under 10 days, Rafigdoost said.

「われわれを貶める敵側のメディアやプロパガンダの予想に反し、もしもアメリカが、われわれを使って運試しをしようとするなら、10日間以内に、900万人の兵士を送り出すことが可能だ」

“The IRGC’s ground forces are perhaps five times better than the American army,” he said.

「イランの陸軍は、たぶん、アメリカ陸軍の5倍は優れている」と彼は言った。
運試しというのは、要するに、アメリカが中東でやり続けている「政権変更(レジームチェンジ)作戦」のことです。
よその国の政権が、「親米じゃない」とか、「都合が悪い」と思ったら、勝手に変えてしまう。
最近では、トルコの反エルドガン勢力を使って、それをやったはいいけど、失敗したと。
イランは、前にも記事にしましたが、最近でも、よくアメリカの海軍を「拿捕」したり、邪魔をしたりしています笑。
おまえら、ぜんぜん怖くないぞ、という感じ。

*それ関係の過去記事*
とにかく、アメリカは、中東から出て行け、おまえらがいると、ロクなことにならん。
それが、シリア、イラン、ロシアの共通のアジェンダですよね。
さて、トルコ…は?

トルコの帰趨はあいまいだが

あとは、トルコのエルドガンが、微妙な感じなんですが、前にもちょっと書いたように、クルド兵と自分の領土の関係があるんで、もう、アメリカの味方をしてまで、アサド政権を倒そうとはしないだろうとか、私も思っていたように、プーチンに逆らうという選択肢は、彼にはないだろうと。
あとは、トルコは今は、中国とも関係がいいので、今後、いろいろと経済的な協力や、テロの取り締まりでの協力が期待できる。
ここで中国を裏切るようなことをすれば、そういう「アメ」は、いっぺんに消えてしまいます。
そして、中国とロシアは、今は蜜月。

「失敗」から学んだ「戦争をしていると思われなければ、反戦運動も起きない」の法則

だからまあ、ものすごく変な話なんですが、アメリカは、自国民には「テロリストを叩くために軍隊を出動させる」と言いつつ、実は、よその国の政権を倒すために、戦争をやっていて、それも、ロシアとの代理戦争の第何ラウンドとか、そういうことだったんですね。本当は。
さらに、国民が知らないうちに、負けていて、負けていたんですが、今後も、負けたということすら、知らせない。
そもそもの話が、「ロシアとの代理戦争をやっていた」という事実を、知らせていないんですから、「負けた」ということだけを知らせるというわけが、ありませんよね。
それを言うんだったら、「実は、代理戦争をやってました」ということを、先に言わないといけなくなる。
本当にまあ、アメリカ国民の「蚊帳の外ぶり」というのは、ものすごいなあと、思うんですが、最近では、政府のほうが「学習した」から、余計に「戦争をやっているということを隠すようになった」んだと、思うんですね。
テロリストを叩いているだけだ、戦争じゃないと。
たぶんですが、アメリカのエスタブリッシュメントの間では、ベトナム戦争を、国民の反対運動で潰されたという「失敗体験」というのが、ものすごく「勉強」になっている。
ベトナム戦争反対運動
国民に反戦運動をさせないためには、どうしたらいいのか。
それは、「戦争をやっているとは思わせないこと」ですよね。
国民は、政府が戦争をやっているとは思わなければ、反戦運動もしない。
だから、すごい賢いなあというか。
もうひとつは、2013年秋の「シリア空爆断念」の「痛い経験」ですよね。
オバマのあの、悔しそうな顔。
メンツは丸潰れ。
あのときは、国民の反対と、イギリス議会の反対で、断念せざるを得なかったんですが、それから1年もしないうちに、シラッとシリアを空爆していた。
どうして?
それは、「テロリストを叩く」という、「国民が反対しなさそうな口実」が、できたからです。
でも、実際には、やったことは、アサド政権潰し。
2013年時点での「目的」と、同じでした。
結局のところ、シリア空爆をやって、アサドを潰すんだと「いったん」決めたら、決して諦めてはいなかったんですね。
「別の方法」で、ちゃんと、シリアを空爆して、軍事産業を儲けさせ、イスラエルの要望にも応じたと。
アメリカが、どうしても戦争をやらないと生きていけない、戦争依存症の国だというのは、この件を見ると、非常によくわかりますね。
「絶対に諦めない」と。「戦争をやると言ったら、やるんだ」と。
キチガイですよねえ。

「誤爆」の理由は、「負けが込んでいたから」

この前の、アレッポでの大規模な「誤爆」の件ですが(過去記事:対ISIS連合軍がシリア軍を「誤爆」、シリアは「ISISの味方をしている」と非難)、あれなんかは、1時間も空爆を続けたそうなんですよ。
62人のシリア兵(アサド政府側の正規軍)が、死んだということです。
だから、今回のプーチンの最後通告でもって、非常に納得がいく。
ああいう「とんでもないこと」までしなければ、負けそうだったから、ですよ。
勝っているときならば、そんなことまでする必要はありませんね。
あの時点で、もう、ロシア+アサド政府軍に押されて、ほとんど負けが込んでいた、だから、ああいう手段にまで出たんでしょう。

シュールな光景

だから、非常にシュールだなあとしか、思えないんですが、国民が知らないまま、ロシアとのいつもの代理戦争をやって、そして、負けていたと。
なんなんですかねえ。本当に。アメリカって。


アメリカ国防総省が、シリアでの「誤爆」について「遺憾」声明~これもトランプ効果か~

これはすごいニュースなんですが、いつものように、日本語のメディアでは無視されるに決まっているので、せめてここでは記録しておきます...