「親友」の帰国、謝罪、逮捕は、何を意味するのか

朴槿恵さんのスキャンダルは、意外にもですが、「親友」の帰国、謝罪という方向へ発展していますね。
これが何を意味するのか。
朴槿恵大統領汚職抗議デモ

始まりは、7月だった

ともかく、この話のスタート地点は、実は、前の記事(過去記事:今わかったはずがない「朴槿恵の汚職疑惑」が、なぜ今出てくるのか)で書いたCSTVではなく、さらに、時期的にも、もっと前だったということが、わかりました。
社説:崔順実とAhn Jong-beomに関わる疑惑の告発についての朴大統領の理解について [Editorial] President Park's Understanding of Allegations Concerning Choi Soon-sil and Ahn Jong-beom(京郷新聞英語版より)

京郷新聞というのは、わりと歴史のある韓国の国内紙で、35万部だとされていますね。
そこが、9月23日の時点で、社説として、すでに記事にしていたんですが、その中で、「出所とスタート地点」についても、はっきり書いている。
さらに、崔順実さんだけが問題なのではなくて、大統領顧問(補佐官かも)のAhn Jong-beom(安鍾範)という人が、疑惑の財団に渡った金の問題について、重要な役割を果たしていると見て、崔順実さんと同列の扱いをしていますね。

この時点(9月)では、大統領も、青瓦台の報道官も、疑惑をきっぱり否定しているんです。
朴大統領は、議員との会合で、こう言ったと。
"Letting slander and unchecked exposes run loose when the nation is facing a crisis will only result in contributing to the chaos shaking our society."

「国が危機にある中で、根拠のない中傷や暴露を流布させることは、社会を揺るがすカオスに貢献することになる」
"Our people must come together as one against North Korea's nuclear and missile threats in order to secure peace on the Korean Peninsula and a future for our people."

「国民は、朝鮮半島の平和とわれわれの未来を守るため、北朝鮮の核兵器とミサイルの脅威に対抗するために、ひとつにまとまるべきである」
興味深いのは、スキャンダルへの回答として、「国家の危機」を強調して、それを答えとしているように見える点。
なんとなくですが、「それも、これのためなんだ」と言いたいのではないか、そういうふうに勘ぐりたくもなる。
「それ」が「これ」のためだったなら、許される、というか、私はそのために必要な金を捻出しただけで、何も悪いことをしていないし、この金は、国民を守るための金なんだ、本当は、そういうふうに言いたいのではないか、そういうふうにも見える。
実際に、京郷新聞の社説は、こういうふうに言っている。
What is the connection between alleged corruption, forcing companies to cough up 80 billion won for two foundations, and North Korea's nuclear and missile program? It's anyone's guess. Does she mean to say that we should ignore corruption allegations to respond to North Korea's nuclear program?

800億ウォンを企業から2財団に出させた汚職についての疑惑と、北朝鮮の核とミサイルプログラムと、どういう関係があるのか?
誰でも勘ぐる。
朴大統領は、北朝鮮の核プログラムへの対応として、汚職疑惑を無視しろと言っているのか?

「密告」があった?

以下のように、現時点では、疑惑のスタート地点は、7月、出所は「密告」ということになっているらしい。
Contrary to the president's wishes, the allegations surrounding Choi is snowballing. Yesterday, the Hankyoreh reported that Cheong Wa Dae Special Inspector General Lee Seok-su had carried out an internal investigation last July after receiving a tip that Senior Secretary Ahn was involved in raising funds for K-Sports Foundation. There were specific statements: when the investigators asked the representatives of companies that had made the donations the reason for their generosity, they simply sighed. They were enough to suggest that there was pressure for the large companies to cough up the funds. It is questionable as to whether the president was properly aware of such a situation when she mentioned slander and unverified exposes.

大統領の意志とは逆に、崔順実を取り巻く疑惑は、膨れ上がっている。
昨日、ハンギョレ新聞が報じたところによると、青瓦台特別捜査司令官のLee Seok-suは、7月に密告を受け取ったあと、Ahn Jong-beomがK-Sports設立について関与しているのではないかと、内部調査を行っていたという。
捜査官が、(当該財団に出資した)企業に、その気前の良さの理由を聴取したところ、彼らはただため息をついた。
それは、大企業に出資の圧力をかけたなんらかの圧力があったということを示唆するにじゅうぶんだった。
根拠のない中傷や暴露だと言った大統領が、そういうことを承知していたのかどうかは、疑問である。
密告が入ったのが、7月のいつなのかがわからないので、THAAD導入決定の前なのか後なのかは、わからないんですね。
ただ、7月8日ころに発表しているから、7月初めの時点で、「THAAD導入路線」はすでに決まっていたということは、間違いないのではないか。
するとやはり、本当に密告があったとしても、THAAD決定を受けての「密告」という可能性が、最も高い。
この疑惑についての密告をするような「誰か」が、THAAD配備とは無関係にそういうことをしようと思い立ったとは、考えにくい。

「とにかくTHAAD絡み」である

なにしろ、今回の「スキャンダル」が疑獄にまで発展したことは、THAAD配備との関係がある。
さらに、崔順実さんが、帰国をして謝罪をしたということは、この財団に流れた金が、単なる「身びいきの利益誘導」などではなくて、「THAADに関わる裏金」であったという可能性が、もっと高くなったと思います。

わざわざ逮捕されるために帰国した理由は、「命が惜しかったから」しか、有り得ない

まあ、この人は、ドイツに居たんだから、タイのタクシンさんとか、または、スノーデンみたいに、そのままどっかへ政治亡命するというのが、普通なんですよ。
だって、帰国したら逮捕されるということは、確実だったんだし、だから、帰ってきたばっかりに、実際に逮捕されてしまったじゃないですか。
ならば、どうして、帰国したのか。
これは、亡命をしたという場合には、自分と娘の「命」のほうが危ないというふうなことを「知っていた」からですね。
それ以外には、ない。
娘が国内に居たのかどうかは知りませんが、自分が亡命したという場合に、娘が共犯として起訴される心配がないならば、普通は、逮捕されるよりは、亡命しますね。
もしも、「命の危険」が、ないならば。
だから、この人はやっぱり、どっかの政府の諜報機関との関係があったんですよ。
そして、「帰らないと、おまえも娘も殺す」と言われていた。
どうしてか。
そこが、問題なんです。

THAADがどうなるかを見れば、そのうちに謎が解ける(かも)

まあ、今後、THAADが配備されるかどうか、朴さんが辞めるかどうか、朴さんの後任に誰がなるのか、そこらへんを観察すれば、この女性が、「本当は、誰のために何をしていた人だったのか」ということは、なんとなく推測ができるのではないかと、私は思う。
あとは、「金の行き先」が、どこまで追及されるのか、これが問題ですね。
崔順実さんが帰ってきたということは、自分が沈黙することによって、「金の行き先を明らかにさせないため」のはずだから、そこが明らかにされる可能性というのは、どうかな。
ただ、金の行き先を知っている人は、Ahn Jong-beomさんとか、この人以外にも、何人かはいるわけなんですが。
どうするんだろう。
いっぽう、「スキャンダル暴露を仕掛けた勢力」というのは、今のところ、私は、よくわかりません。
7月からだったならば、アメリカの「政府筋」であるという可能性は、低まったと思うし、中国以外にも、ロシアと北朝鮮にも、動機があるし、仕掛ける蓋然性というものは、あると思う。
「韓国内部の権力争いが原因」という可能性も、なくはないけど、それがあったとしても、それ「だけ」というふうには、私は思わないですね。

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中国紙(もちろん政府が運営)は、韓国の件をどういうふうに伝えているかというと、まあわりと冷静に、突き放した感じなんでしょうかね...

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さて、特殊日本イグアナが大注目している韓国の大統領汚職疑惑の件なんですが…なんかちょっと、意外な方向に展開してきましたね...