イスラエルが、「また」シリアを空爆

イスラエル空軍がシリアのクナイテラ陣地を空爆(Global Times誌より)

はい、実は、この↑ニュースは、核施設関係ではないんですが、ついでに、もっとすごい案件を紹介しておこうと思ったんです。
どうしてかというと、その件については、まだ、ネット上では、日本語の参照文献がない少ないみたいだからです。
なので、英語ができる人なら、私のブログなどを見る必要はないので、勝手に、「Operation Orchard」で検索をしてもらえばいいと思います。
英語ができない人は、このまま、がんばって読み進む。

イスラエルがテロリストを支援

今回のニュースとしては、これも、絶対に重大なニュースなので、本当は、注目してもらわないといけないんです。
ですが、日本語のメディアでは、報道されるわけがないし、大統領選関係の余波で忙しいアメリカのメディアは、ガン無視だし、というか、それがなかったとしても、アメリカの大メディアは、イスラエルに都合の悪いことは、そもそも報道しません。
The Israeli air forces attacked a Syrian military position in Syria's southern province of Qunaitera on Wednesday, the Syrian army said in a statement.

イスラエル空軍は、水曜日に、シリア南部のQunaitera県を空爆したと、シリア軍は発表した。

The attack led to the destruction of a cannon in the countryside of Qunaitera, said the statement.

この攻撃は、Qunaitera郊外のキャノンを破壊したと、声明は述べた。

It added that the attack comes after the successes the Syrian forces have made in foiling a wide-scale attack the terror-designated Nusra Front had unleashed in Quniatera earlier on Wednesday.

(イスラエルの)攻撃は、シリア(政府)軍が、Qunaiteraに広がっていたテロ関与のあるヌスラフロントに大規模な攻撃を仕掛けたあとに行われた。

"The Israeli attack is an attempt to boost the morale of the of the terrorists," the statement said.

「イスラエルの攻撃は、テロリストの士気を高める目的で行われた」と声明は述べた。

It stressed the Syrian army's resolve to continue the battles against the terrorist groups, which it said are the tools of Israel.

声明では、シリア軍は、テログループとの戦いを続ける決意は固いと述べ、テログループを「イスラエルの道具」と言った。

The Syrian government has repeatedly accused Israel of aiding the terror groups in Qunaitera, especially as the Israeli shelling on Syrian military positions often comes after a heavy blow the rebels receive by the Syrian army in that area.

シリア政府は、イスラエルが、Qunaiteraのテログループを支援していると繰り返し非難しており、特に、シリア軍が、その付近を激しく攻撃したあとに、イスラエルからの爆撃があると指摘した。
アルヌスラというのは、前からISISとの関係が言われているとか、テロリストだとして、ロシアから、アメリカに対し、「反政府軍から切り離せ」というふうな要求がされているグループです。
これに対し、私の知る限りでは、9月の国連での米露の口論の際にも、アメリカ側が、「アルヌスラをテロリストだと思うのかどうか」とか、「物資を与えているのかどうか」について、「はっきり答えた」という記憶は、ありません。
無視している。触れない。
まあ、アメリカって、そうなんですよ。
都合の悪いことには、イエスもノーも言わないで、ただ無視する。

米軍は、誰のために中東で戦争をしているのか

そしてまあ、今回の記事を見ると、やっぱり、イスラエルなんでしょうね。
アサド政権をどうしても倒したいのは、イスラエル。
そのためなら、テロリストでも使う。
アメリカが出て行かないのは、イスラエルが引き留めているから。

トルコもシリアに侵入して空爆、しかし

イスラエルは、シリア国内に、自軍を侵入させて、直接、「政府軍」を空爆していますから、これは、普通だったら、「侵略」じゃないんですか笑。
この前ですが、やっぱりトルコが、シリアに侵入して、空爆をしましたが(過去記事:トルコがシリアのクルド兵を大規模空爆で、アメリカへの公然の反逆)、あれは反政府軍のクルド兵を空爆したんですね。
だから、これは間違いなく、事前に、アサドに連絡をして、了解を取っている。
アサドにとっては、「助太刀」ということになるし、それだと、同士討ちをされると困るから、絶対に、事前に連絡をしている。
しかし、イスラエルは、そうじゃないんですよ。
どう考えても、「侵略」だと思うんだけど、どこの新聞も、「イスラエルがシリアを侵略」とか、書いていませんよね。
そして、実は、イスラエルのシリア侵略は、これが最初じゃない笑。
9月にもあったようですし、実は、何年も前にも、あったらしい。
それが、びっくりする話なんですが、そして、日本語ではまだ、どこも紹介していないはずですが、イスラエル軍が、自軍の戦闘機をシリア国内に侵入させて、シリアの核施設を破壊したというものだそうなんです。
えっ。
そんなこと、あったの?
ええー。

極秘のままになっている「オーチャード作戦」

あったらしい。
これは、アメリカ政府関係者にも、まだ、箝口令が敷かれているので、表には出ない。
そして、英語では、ニューヨーカー誌が書いたスクープ記事があるんですが、それ以外に、まともなソースは、まだ、ないみたいです。
英語版のウィキペディアは、ありますが、それも、このニューヨーカー誌の記事をまとめたものに過ぎない英語だったら、ほかにもあるかも。
なるほどね。
イスラエルが、どうしてもアサド政権を倒したいのは、核兵器問題。
また作られると困るから、シリアには、どうしても、親米(以)政権を立てなければならないと。
それまでは、安心して眠れないと。
イランの(核兵器の)件もありましたが、それは、順番から行けば、シリアの核施設を破壊したあとの話ということになるんですが、あれなんかも、イスラエルとしては、もうちょっとイランとの距離が近かったら、破壊に行っていたでしょうし、アメリカに対しても、「空爆して破壊してくれ」と、しつこく頼んでいたに違いない。
まあ、イスラエルって、どう考えても、頭が狂っている。
だいたいですよ、自分たちは核兵器を保有していますね。
それで、持っていますとは認めない。
けれど、周辺国には、持たせない、持ちそうになったら、壊すし、いっぺん作ったら、またやると思って、政権を倒すまでやる。
まっ私に言わせれば、病気なんですよ。
イスラエルという国自体が、PTSDなんです。
70年たっても、治らない。
気の毒な人たちなんですが、この人たちの病気のために、いつまでも、ほかの人たちすべてが犠牲になり続けるというわけには、いかない。
早く医者を雇って、国民全員で、治療をしなさいと、言いたいんですが、頭の病気の人というのは、自分が病気だとは思わないから、病気なんですね。
さらに、「病気じゃないよ、それがフツー」と言ってくれる「頼れる友達=アメリカ」もいるんで、余計に病気だとは思わない。
困ったことです。

以下は、本当にざっとの概略です。
本文は、ものすごくややこしいので。
参考は、
Operation Orchard(英語版ウィキペディア)
The Silent Strike(The New Yorker誌)

スパイ映画そのものの展開で情報入手

イスラエル側が、シリアの核施設の情報を入手するまでには、スパイ映画そのもののシーンが繰り広げられたそうです。
モサドのエージェントが、ウィーンにいたシリア高官の自宅に忍び込み、施設の画像を入手し、まったく気づかれずに脱出もしていたと。
……。
まっこれも、犯罪ではないのかなあ。
他人の家に勝手に入り、見てもいいと言われていないものを見て、写真に取って、持ち帰るとか。
犯罪…だと思うけどな。
イスラエルのこととなると、本当に、もう、よくわからない。

前説

  1. 作戦の実行は、2007年9月6日の深夜にシリアのDeir ez-Zorで行われた。
  2. 米以両国は、この件に箝口令を敷き、7か月間封印した。
  3. ホワイトハウスとCIAは、のちに、このエリアに軍事目的を疑われる核施設が存在していたことを認めた。シリア側は否定。
  4. IAEAの調査では、2009年に、この地域で、ウラニウムとグラファイトを発見したが、シリア政府の協力を得られなかったので、核施設があったのかどうかを断言できなかった。シリア政府は否定。
  5. 2011年になって、IAEAは、この地域に核施設があったことを公式に認めた。
Deir ez-Zorの位置関係Qunaitera

作戦の概要

  1. スパイの活躍によって、情報を入手し、恐怖したイスラエル政府は、ブッシュ政権に相談をし、アメリカが空爆で破壊してくれることを求めた。
  2. イラク戦争で大量破壊兵器が見つからず、大ポカをやって、尻に火がついていたブッシュは、気が進まなかったので、断った。
  3. イスラエル首相(当時)のオルメルトは、シリア側の「仕返し」が予想されたため、それを怖れてはいたが、1981年のベギンドクトリン(以下に抜粋参照あり)に基づいて、イスラエルが自力で破壊することに決めた。
  4. 作戦実行→2007年9月5日の深夜4機のF-15と4機のF-16が、ハイファ南西のラマト・ダヴィド空軍基地を含むイスラエルの空軍基地を飛び立った。
    地中海に沿って北へ向かって飛行したのち、戦闘機は東へ向かい、レーダーを避けて、シリア・トルコ国境へ向かった。
    イスラエルは、通常の電磁スクランブル機器を使用し、シリアの防衛システムを目くらませた。
    「ザ・ピット」の別名で知られるテルアビブの地下司令部では、オルメルト、バラク、リブニ、そして上級職員たちがレーダーから作戦を見守っていた。
    もしもこの作戦が、全面戦争に突入した場合には、ここが司令壕になる予定であった;イスラエル側は、不測の事態に備えた軍事作戦も用意していた。

    Just before midnight on September 5, 2007, four F-15s and four F-16s took off from Israeli Air Force bases, including Ramat David, southeast of Haifa. After flying north along the Mediterranean Coast, the planes turned east and followed the Syrian-Turkish border, to avoid detection by radar. Using standard electronic scrambling tools, the Israelis blinded Syria’s air-defense system. In Tel Aviv, in a room of the underground I.A.F. command-and-control center known as “the pit,” Olmert, Barak, Livni, and senior security officials followed the planes by radar. The room would serve as a bunker for Olmert in the event that the strike sparked a war; the Israelis had also prepared a military contingency plan.

    シュケディ将軍は、隣の部屋で、無線からパイロットの動きを捕捉していた。
    12:40 から 12:53 A.Mの間に、パイロットたちが、その日のための暗号「アリゾナ」を唱えた、それは、17トンの爆薬が標的に落とされたということを意味していた。
    参加者の一人は、「あのときには高揚感があった」と振り返った。
    「リアクターは破壊され、われわれのパイロットは無傷だった」

    General Shkedi tracked the pilots by audio in an adjacent room. Sometime between 12:40 and 12:53 A.M., the pilots uttered the computer-generated code word of the day, “Arizona,” indicating that seventeen tons of explosives had been dropped on their target. “There was a sense of elation,” one participant recalled. “The reactor was destroyed and we did not lose a pilot.”
  5. シリア政府側は、核施設(らしきもの)が、イスラエルの空爆で破壊されたことを隠し、「来たけど追い払った」と報道した→The next day, the Syrian Arab News Agency announced that Israeli planes had entered Syrian airspace but had been repelled: “Air-defense units confronted them and forced them to leave after they dropped some ammunition in deserted areas without causing any human or material damage.”
    実際には、シリア軍のミサイルは、一発も迎え撃ってこなかったとイスラエル側は言っている→ The Israelis say that not a single Syrian air-defense missile was launched.
    犠牲者。施設の職員10名~30名程度が死亡しているらしい→ At least ten, and perhaps as many as three dozen, workers were killed in the strike.
  6. 結果として、この作戦の件は、国際社会からは黙殺された。なぜかというと、イスラエル側も、シリア側も、沈黙を貫き、シリアがIAEAの調査に対し、まじめに協力しなかったから。
*ベギンドクトリン*
イラク原子炉爆撃事件
ベギンはイラクのサダム・フセインが反シオニストであると考えており、オシラク、もしくはタムーズ1と呼ばれるイラクの核施設に技術を提供しているフランスに核の供給をストップするよう申し入れていた。
1981年6月7日、要求が受け入れられないと見るとベギンはイスラエル空軍に各施設の爆撃を命令、この作戦は『オペラ作戦』と呼ばれる。
その後すぐ、ベギンは「どんな理由があってもイスラエルの脅威となる大量破壊兵器を開発することは許されない」という声明を発表し、爆撃を認めた。
これに対し、フランスやアメリカを始め多くの国ではイスラエルに対する非難の声が上がった。
国際連合安全保障理事会でも決議487が満場一致で採択され、イスラエル国内では左派による作戦の批判がなされた。
しかし国民はベギンを支持し、わずか3週間後の選挙でリクードは再び圧勝した。

最初のころ、トルコに仲介を頼んだらしいが…

当時、オルメルトが、トルコの首相だったエルドガンに、シリアとの話し合いの仲裁を頼んだとかいう話も出てきたりしますが、これは、どうやら、不発に終わったようです。

被曝の可能性がある

ともかく、何人死んだかとかいう被害規模すら、わからない。
核物質による汚染が、どの程度なのかとかも、ぜんぜん不明。
だから、シリア東南部には、行かないほうがいい。
被害規模がわからないのは、シリア側が、「攻撃をされたこと自体」を、隠したからですが、死んだ人たちは、浮かばれないなあとしか、言いようがありません。
死んだ人の家族には、どうやって、説明をしていたんだろう。

アメリカが発表しているこういう衛星写真くらいしかない。
orchard2
orchard
あとは、知らずに被曝をさせられているかもしれない地元民たち。

ユダヤ人以外の命は、勘定に入っていない

とにかくまあ、イスラエルは、病気だなと。
この攻撃をするにあたって、一番考えたのは、「報復」のことだというんですから、本当に、他人の命などは、なんとも思っていない。
二番目は、ユーフラテス川の汚染らしい。川の汚染だったら、自分たちにも関係があるからと。
……。
さらに、アサドが報復をしそうかどうか、公表をするかどうかを「精神分析医」に分析させたというんですよ。
そういうのの結果でもって、攻撃を決めている。
本当にまあ。
中東というのは、滅茶苦茶すぎて、どうにもならない。
人の命が、ものすごく軽いというか、イスラエルでは、ユダヤ人の命だけが「命」であって、ほかはもう、「違う」と。
さらに、アサドのほうも、自分のメンツが潰れるからと、自分の部下が、まとめて10人以上、いっぺんに殺されているのに、「なかったこと」にするとか、まあなんなんですかねえ。
一説には、被害者は、北朝鮮からシリアの核施設に派遣されていた「北朝鮮の職員」だったという話も、ありますが。