選挙後のサンダースの活発な動き

sanders
さて、つらつらと、バーニー・サンダースについて考えていたんですが、ここらで少し、総括をしてみたいと思います。
サンダースの大統領選参加と関与とは、本当は、どういう意味があったのか。
私は、これまで、「裏切り者」というふうに見てきましたが、今回、サンダースがニューヨークタイムズ誌に寄せた寄稿文を見て、「おや」という感じがしたんですね。
もちろん、NYT誌というのは、オバマ政権とヒラリー・クリントンの息がかかっているので、おおむねは、その代弁者として機能しているんです。
いるんですが、そういうことを承知しているサンダースが、今回、何を書いたのか。
Bernie Sanders: Where the Democrats Go From Here(サンダース:これから民主党が向かう場所)(NYT誌)

けっこう長いんですが、私が気になった箇所は3つで、たぶん、このことがポイントでしょう。
  1. クリントンに投票するというのが、正しい選択だった。
  2. しかしサンダースは、こういう結果になるんじゃないかと思っていた(トランプ当選に驚いていないと言っている)、トランプが当選したのは、彼の選挙戦術(彼が訴えたアジェンダ)が、有権者を引きつけるものであったからである。
  3. 最も重要なのは、選挙を金で買うような金持ちの大口献金を終わらせることである。
たぶん、サンダースが最も言いたかったことは、3なんですが、「クリントンに投票する」ということは、3とは矛盾しますね。
すると、どうして1と3が「一緒に」述べられているのか。
さらに、サンダースは、もともと民主党ではなかったし、今も、7月末から離党しているはずなのに、どうして民主党の再生に、こんなにこだわるのか。
NYTに、民主党の行くべき道というタイトルの寄稿を寄せたり、ほかにも、TV番組に出たりしてまで(Sanders: Democrats Lost Elections Because They Focused On ‘Liberal Elite,’ Not Working Class)。

大統領選に関するサンダースの行動は、合理的ではないし、一貫性もない

そして、私の頭には、重大な疑問が。
サンダースは、自分が大統領になれるというふうには、思っていなかったのではないのか。 そもそも、ユダヤ系アメリカ人で、ユダヤ教から改宗していない人が、無邪気に「アメリカの大統領になれると思う」というほうが、不自然なんですね。
さらに、彼は、離党後に、緑の党からのオファーを蹴っていますね。
ジル・スタインの代わりに、緑の党から大統領選に出てくれてもいいと言われたのに、断っている。
サンダースが、緑の党から出て、8月から11月初頭まで、まともにキャンペーンをやっていたら、どうなっていたか。
サンダースが大統領になるという可能性は、かなり低かったとはいえ、民主党の票を食って、やっぱりトランプが勝っていたという可能性があった。
今回の投票率は、50%くらいだったそうですが、いつもは民主党に入れるけれど、クリントンが嫌だからと「棄権した人」、これがかなりいたと言われている。
さらに、クリントンが嫌だから、「クリントン以外」に投票した人も、少しはいたはずです。
すると、民主党を離党して、しかし緑の党は蹴って、クリントンのキャンペーンに協力し、しかし大統領候補者には残って、別の副大統領候補を指名して、無党派として名簿に残したという行動の意味が、よくわからないんですね。
単に、ジル・スタインに敬意を示したということかも、しれないんですが。
というか、本気でクリントンを勝たせたいというふうに思っていたのかと、そこも、大きなクエスチョンマークがつく。
しかし、思っていなかったなら、どうして、離党後に、クリントン支援を表明し、ついて回っていたのか。

最も嫌がっていたのは、誰か

逆に考えてみましょう。
ユダヤ系移民のサンダースが、「戦争をやめよう」とか、「1%の金持ちのための政治を終わらせよう」と言って、大統領選に出て、予備選では、クリントンに匹敵するくらいの支持を集めた。
これは、「誰」にとって、「最も嫌なこと」だったでしょうか。
それは、イスラエルという「国」ですね。

これを↓最も嫌がったのは、イスラエルのはず
bernie
そして、ユダヤ系アメリカ人のうち、民主党を仕切るとか、ホワイトハウスに出入りして、イスラエルの国益のために働いている一部のエリートたち。
その人たちへの「No」なんですよ。
「身内」からのNoなんです。
誰でも、一番困るのが、身内からNoを言われることです。
安倍普三が、最も嫌がっているのは、日本で、「本土の有権者」から、Noを言われること。
だから、軍国化を推進するにあたっては、被曝者を黙らせることを、最も重視していて、いっぽうでは、沖縄には言われても構わないと思っている。
最も困るのは、山口の自分の選挙区民の誰かが、「反安倍運動」の先頭に立つことでしょう。
サンダースは、そういう「イスラエルへの利益誘導をしている支配層」ではないユダヤ人の家庭の出身で、そして、それが民主党を根城に行われているということを知っているから、それをなんとかしようとしたのではないのか。
ただし、「同胞よ、イスラエルへの利益誘導をやめよう」「アメリカの国益を優先しよう」などというスローガンは、立てられません。
そんなことをしたら、もともと嫌われているユダヤ人が、もっと差別を受けてしまう。
ユダヤ系アメリカ人は、お金を持っている人もいるけれど、マイノリティなんです。いつでも迫害される可能性があるし、今でも、ぜんぜんされていないというわけではない。
しかし、「戦争をやめよう」とか、「1%の金持ちのための政治を終わらせよう」というのは、明らかに、「イスラエルへの露骨な利益誘導をやめて、アメリカの国益を優先しよう」という意味です。
なので、サンダースの「本当のメッセージ」は、国内外の「同胞」には、伝わっているし、彼らは、サンダースが何をしようとしたのか、わかっている。
しかし、民主党を仕切っているユダヤ系アメリカ人のエリートたちは、同胞だからといって、クリントンよりもサンダースに大統領になってもらおうとか、サンダースの意見に耳を傾けようとか、そういう雰囲気は、ぜんぜんなかったということが、わかっています。
その件は、また、別記事で立てるつもりですが、なにしろ、民主党内は、クリントンを時期大統領候補者にするための、ありとあらゆる準備が整っていた。
なので、民主党本部の代表(もちろんユダヤ人)は、あとから割り込んできたサンダースに、予備選に出るのを止めろと言った。

サンダースの一番の強みは、「殺される可能性がないこと」

サンダースの強みというのは、自分自身が、ホロコーストにあって逃げてきたユダヤ人移民の2世で、今でもユダヤ教徒であるということ、つまり、「万が一、イスラエルの敵と見なされても、絶対に、殺されることはない」ということです。
彼は、「殺される心配がない」からこそ、自分にできることがあると思っていた。たぶん。
同じことを、ほかのアメリカ人がやったら、殺される可能性がものすごく高い。
トランプでさえ、とにかく殺されないために、今後、かなりの妥協をするでしょう。
そして、サンダースはたぶん、まだ、「民主党の改革=イスラエルへの利益誘導システムを破壊すること」を、諦めていないぽい。
それが、クリントン敗戦後の、彼の「民主党への関与」ということではないのでしょうか。
「大口献金システムをやめろ」と言っている。
もう、民主党員ではないのに。

サンダースは、第2のホロコーストを防ぎたい

だから、サンダースは、クリントンが勝っても勝たなくても、とにかく「選挙後に、民主党への関与を続けたい」ということでもって、クリントンのキャンペーンに協力した。
おおざっぱに言うと、サンダースの大統領選参加というのは、「ユダヤ系アメリカ人どうしの内輪もめ」だったとも言える(もちろん、クリントンはユダヤ人ではない)。
ただし私は、サンダースが、「イスラエルを敵視させよう」だとか、「1ドルたりとも与えないようにしよう」だとか、そういうことを目指しているとは、思わないんです。
彼は、身内がホロコーストで殺されているから、そういうことはできない。
ただ、ジョンソンがイスラエルに国を売ってからの50年間というもの、「同胞」のやることが、あまりにもひどい、もう見ていられないと、思ったんじゃないんでしょうか。
あまりにもこれが続くと、「支配層でない普通のユダヤ人」も、困ると。
また「アンチセミティズム」の再燃を招きかねず、実際に、アメリカでも、そういう傾向がないわけじゃない。
ユダヤ人が憎まれないためには、イスラエルという国+ほかの国に移住したユダヤ人が、そんなに悪いことをしなければいいと、いうわけなんです。
もう少し、「普通」になったらいいんだと。
が、一部のユダヤ系アメリカ人が、アメリカよりも、イスラエルの国益を優先している、アメリカの「富」を、搾取対象としか思っていない、それをやめさせなければならない。
このままだと、また憎まれて、排斥の対象になりかねない。

当時は、こんな画像まで流れていた
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さらに、オバマ政権が調印した、イスラエルへの巨額の援助金をストップしろという訴訟も起こっている↓。
Lawsuit Aims To Block U.S. Aid To Israel(Popular Resistance誌)

サンダースの「最後の仕事」の評価は、まだまだ先になる

サンダースが、70歳を過ぎて、「政治家として、そしてユダヤ人としてやり残した仕事」として、最後に取り組んだのが、それだったのではないか。
私は今は、そんな気がしますね。
ただし、彼の「最後の仕事としての試み」に対する「評価」というものは、もっと時間が経たないと、できない。その「真価」が問われるのは、彼が死んで、だいぶ経ったころの話でしょう。
私は、サンダースに最も似ている日本の政治家と言ったら、たぶん、野中広務だろうと思いますね。
「いろんな意味」で、似ていると思う。
だから、どこの社会にも、いつの時代にも、「こういうタイプで、こういう役割を果たそうとする人」は、だいたい、1人くらいはいるものだと、そういうことではないでしょうか。

サンダースの思惑~革命と第三極をダコタパイプラインから~

さて、前の記事で書いたように、まるで「安倍普三の高江攻撃」とそっくり同じ構図で、大統領選挙後に、ダコタパイプライン建設現場での警察の弾圧が激化し、大手マスコミがほぼ無視を...